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設立の趣意

日本アクチノイドネットワークについて

提案機関:北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、日本原子力研究開発機構*
協力機関:電力中央研究所、ニュークリア・デベロップメント株式会社、日本核燃料開発株式会社他

 アクチノイド元素はその多くが原子力システムを用いて人工的に合成された核種であり、人類がごく最近になって材料構成元素として利用できるようになった材料科学や物性物理のフロンティアを構成する元素群である。また、軽水炉の高燃焼度化及び高速増殖炉をはじめとする次世代炉の開発のため新しい核燃料、核燃料サイクル関連技術の開発が進められているが、これらの技術開発基盤を確立するには関連するアクチノイド元素の研究が不可欠である。

これまで国内でのアクチノイド研究は、日本原子力研究開発機構(JAEA)、企業の研究所、大学等で個々に進められてきた。しかしながら、これらの研究にはα放射体の管理技術に支えられた研究環境が不可欠であり、限られた資金でこれらの研究環境を維持し、且つ新しい研究の展開を図っていくことは個々研究機関単独では困難になってきており、組織の枠を越えた連携、新たな研究支援体制の構築が強く望まれる。また、現在進んでいる原子力分野に於ける世代交代に伴いアクチノイドの研究のノウハウを若い研究者に継承しなければならないことを考えると、人材育成もアクチノイド研究分野で重要な課題である。特に、知識のみならず直接ハードウエアに触れた実地教育によるノウハウの継承が重要であり、この点からも従来の教育及び研究開発システムでは対応が困難となってきている。

欧州ではこの問題を解決するための一つの方策として「アクチネット」と呼ばれるシステムを形成し、アクチノイド関連施設を共同利用することにより、アクチノイド基盤科学の構築を目指したプロジェクト研究やそれに基づく人材育成を進めている。我国の現状を鑑みると、国内に於いても、施設共用を柱としたネットワーク連携を強化する枠組みを構築し、プロジェクト研究や人材育成を行うことが緊急の課題である。これらの問題を念頭に置き、「日本アクチノイドネットワーク」の設立を提案する。

以下に、「日本アクチノイドネットワーク」での活動内容を示す。

(1)将来の核燃料サイクルを担うアクチノイド基礎科学(固体物性及び溶液化学)の振興と若手研究者・技術者の育成。

(2)JAEA、東北大学、京都大学のアクチノイド関連研究施設を利用して、若手研究者・技術者に先端的科学にふれる機会を与えることにより体験的理解を深める。

(3)異分野も巻き込み最先端の実験科学と計算科学を結合した連携研究テーマを実施する。