お知らせブログ

日本原子力研究開発機構(JAEA)

JAEAは、我が国唯一の総合的原子力研究開発機関として、核燃料サイクルの着実な推進や高速増殖炉の早期実現などを目的とした研究開発を実施している。アクチノイドの固体科学、溶液化学研究はそれらの基盤を担うものであり、東海研究開発センター及び大洗研究開発センターには、照射済核燃料やアメリシウム、キュリウムなどの超プルトニウム元素の取扱いが可能な施設が複数稼動している。

東海研究開発センター原子力科学研究所の燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)(図1-1)は、核燃料サイクルや放射性廃棄物に関する安全研究、基礎・基盤研究を行うために建設された施設である。臨界安全性に関する研究のための臨界実験装置のほか、超ウラン元素(TRU)の固体、液体、溶融塩などを取扱うグローブボックスやホットセルがあり、現在、分離プロセスや高温化学などJAEAでのアクチノイド研究の中核を担っている。

NUCEF実験棟には、不活性雰囲気下でgオーダーのアメリシウム、10 mgオーダーのキュリウムが取扱い可能な研究設備として、「TRU高温化学モジュール(TRU-HITEC)」(図1-2及び1-3)が設置されており、この設備は、鉄及びポリエチレンによりγ線及び中性子遮へい能力を持つとともに、高純度不活性ガス(アルゴン)雰囲気(酸素濃度1ppm以下、水分濃度 -70℃(露点)以下)での連続運転が可能な鉄セル3基及びグローブボックス1基から構成されている。鉄セルでアメリシウム(241Am)約10 gの取扱いが可能であり、不活性雰囲気においてグラムオーダーの超ウラン元素を取扱い可能な設備としては、世界的にも類を見ない。

   

TRU-HITEC内には、燃料及び乾式再処理におけるTRU挙動研究のための各種試験機器が設置されている。超ウラン元素を含有した酸化物、窒化物等の高温化学研究のための酸化還元反応測定装置、超高温加熱炉、高温X線回折装置(図1-4)等が、また、乾式再処理に関連した溶融塩化学及びプロセスの基礎研究のための溶融塩電解槽(図1-5)、電極処理装置などが設置されている。

 
図1-4 高温X線回折装置   図1-5 溶融塩電解槽